数あるスポーツの中でも総合的な筋力を使う「ハンドボール」。日本ではまだまだ競技人口
は少ないものの、運動能力としてのポテンシャルはスポーツの中でもトップクラスなんで
す。
2006 年に地上波で放送された「スポーツマン No,1 決定戦」に出場した日本ハンドボール
会のキングとも言われる「宮崎大輔選手」は総合 No,1 を獲得。しかも 2008 年、2009 年に
も総合 No,1 の座を勝ち取り、ハンドボールの凄さを日本の世に知らしめました。ハンドボ
ールの試合を見ても分かりますが、スピード、テクニック、パワー、どれも他のスポーツに
引けを取らない見どころのあるスポーツです。
世界に目を広げてみると、いかにハンドボールの人気があり、メジャースポーツなのかが分
かります。
ハンドボール世界の競技人口
国 | 競技人口 | 人口比(%) |
---|---|---|
デンマーク | 14 万人 | 2.5 |
ドイツ | 84 万人 | 1.0 |
アイスランド | 5 千人 | 1.7 |
フランス | 50 万人 | 0.5 |
スウェーデン | 18 万人 | 1.7 |
ルーマニア | 1 万人 | 0.05 |
日本 | 8 万人 | 0.06 |
*競技人口はおおよその数です。
「国技」とまではいきませんが、競技人口の多いデンマークやドイツでは国民的スポーツと
して親しまれているんです。
また、フランスはここ数年で大きく競技人口が増えた国でもあります。2008 年、2012 年の
オリンピックで二年連続の金メダルを獲得。2015 年には世界男子ハンドボール選手権でも
優勝。近年、日本ではラグビーの人気が高まったように、フランスではハンドボール熱が高
まっているんです。
次に、日本ハンドボール会の未来を担う高校生の都道府県別部員数を見てみましょう。
順位 | 都道府県 | 総人数 |
---|---|---|
1 | 愛知県 | 4028 人 |
2 | 神奈川県 | 2125 人 |
3 | 東京都 | 1589 人 |
4 | 大阪府 | 1526 人 |
5 | 埼玉県 | 1422 人 |
6 | 兵庫県 | 1271 人 |
7 | 沖縄県 | 880 人 |
8 | 熊本県 | 865 人 |
9 | 北海道 | 855 人 |
10 | 静岡県 | 820 人 |
11 | 福岡県 | 816 人 |
13 | 茨城県 | 687 人 |
14 | 宮城県 | 677 人 |
15 | 岐阜県 | 569 人 |
16 | 福島県 | 537 人 |
17 | 三重県 | 479 人 |
18 | 山口県 | 420 人 |
19 | 岡山県 | 410 人 |
20 | 岩手県 | 404 人 |
21 | 愛媛県 | 402 人 |
22 | 鹿児島県 | 398 人 |
23 | 京都府 | 388 人 |
24 | 長野県 | 364 人 |
25 | 石川県 | 352 人 |
26 | 宮城県 | 349 人 |
27 | 山形県 | 338 人 |
28 | 富山県 | 331 人 |
29 | 滋賀県 | 313 人 |
30 | 奈良県 | 297 人 |
31 | 広島県 | 297 人 |
32 | 長崎県 | 290 人 |
33 | 山梨県 | 258 人 |
34 | 群馬県 | 251 人 |
35 | 青森県 | 247 人 |
36 | 和歌山県 | 238 人 |
37 | 香川県 | 237 人 |
38 | 福井県 | 213 人 |
39 | 栃木県 | 207 人 |
40 | 新潟県 | 193 人 |
41 | 秋田県 | 182 人 |
42 | 島根県 | 160 人 |
42 | 高知県 | 160 人 |
44 | 大分県 | 158 人 |
45 | 徳島県 | 153 人 |
46 | 鳥取県 | 149 人 |
47 | 佐賀県 | 128 人 |
全国 28215 人
出典:都道府県別統計とランキングで見る県民性
人口比率的にみると一番多いのは沖縄県になります。二位は熊本県。やはり、ハンドボール
が強い県は部員数も多いですね。
日本の高等学校におけるサッカー部員数が約 100 万人ということから見ると、まだまだ日
本では受け入れられていないと見ることができますが、東京オリンピックなどの機会に大
きく変わる可能性も十分あり得そうですね。
ハンドボール世界ランキング
ハンドボールの世界ランキングはと言うと、
- 1位 「ドイツ」
- 2位 「スウェーデン」
- 3位 「ロシア」
となっています。
しかしながら、この順位に異論を唱える人もいるんです。
なぜかと言うと、この世界ランキングは IHF(国際ハンドボール連盟)が決めているのです
が、“過去の成績を大きく反映しての順位”だからです。先ほどご紹介した通り、フランスが
近年最も強い国のはずなのですが、三位にすら入れていませんよね。このようなことから、
当記事では「世界男子ハンドボール選手権」におけるメダル獲得数からランキングを紹介し
たいと思います。
順位 | 国 | 金 | 銀 | 銅 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
1 位 | フランス | 6 | 1 | 4 | 14 |
2 位 | スウェーデン | 4 | 3 | 4 | 11 |
3 位 | ルーマニア | 4 | 0 | 2 | 6 |
4 位 | ドイツ | 3 | 2 | 1 | 6 |
5 位 | ロシア | 2 | 1 | 0 | 3 |
6 位 | スペイン | 2 | 0 | 1 | 3 |
7 位 | クロアチア | 1 | 3 | 1 | 5 |
7 位 | デンマーク | 1 | 3 | 1 | 5 |
やはり来ましたね、フランス。人口比率で最も競技人口が多いデンマークが 7 位なのは意
外ですね。こうやってみるとヨーロッパが上位を占めているのが顕著に分かります。
オリンピックにおけるハンドボールの歴代順位
オリンピック歴代順位に入る前に、ちょっと小話。
東京オリンピックが間近に迫ってきましたが、今大会でハンドボールが“スポーツ産業”とし
ての面で注目されているのをご存知ですか?
政府の掲げている「日本再興戦略 2016」では「スポーツの市場規模を 2012 年の 5.5 兆円か
ら、2025 年までに 15 兆円に拡大する」ことを目標にしているんです。そのためには新規の
スポーツビジネスを振興する必要があります。
日本において野球やサッカーはメジャースポーツとなっていますが、その熱はピークを過
ぎています。しかし、それらと比べてハンドボールはまだまだそれ自体に伸びしろがあるス
ポーツ。5G などの新たな技術と共にスポーツ産業の活性化に役立てようとする動きが現
在進んでいるのです。
そのためには東京オリンピックでメダルを獲得する。それが、現在の「日本ハンドボール協
会」が掲げている目標です。次代のスポーツの発展は現在の選手たちが担っているので、ハ
ンドボール日本代表に選ばれた選手たちには頑張ってもらいたいですね。
それでは、オリンピックにおけるハンドボールの歴代順位を見ていきましょう。
開催地 | 金 | 銀 | 銅 |
---|---|---|---|
2016 リオデジャネイロ | デンマーク | フランス | ドイツ |
2012 ロンドン | フランス | スウェーデン | クロアチア |
2008 北京 | フランス | アイスランド | スペイン |
2004 アテネ | クロアチア | ドイツ | ロシア |
2000 シドニー | ロシア | スウェーデン | スペイン |
1996 アトランタ | クロアチア | スペイン | スウェーデン |
1992 バルセロナ | (*1)EUN選手団 | スウェーデン | フランス |
1988 ソウル | ソビエト連邦 | 韓国 | ユーゴスラビア |
1984 ロサンゼルス | ユーゴスラビア | 西ドイツ | ルーマニア |
1980 モスクワ | 東ドイツ | ソビエト連邦 | ルーマニア |
1976 モントリオール | ソビエト連邦 | ルーマニア | ポーランド |
1972 ミュンヘン | ユーゴスラビア | チェコスロバキア | ルーマニア |
1936 ベルリン | ドイツ | オーストリア | スイス |
*1: バルセロナオリンピックのEUN選手団はアゼルバイジャン、アルメニア、ウクライナ、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスタン、グルジア、タジキスタン、トルクメニスタン、ベラルーシ、モルドバ、ロシアの12カ国の選手で構成された選手団。
出典元: 引用 – Wikipedia
オリンピックにおいても、やはりヨーロッパ勢が強いですね。ドイツはオリンピックにハン
ドボールが導入されるようになった時からの強豪国。100 年近くも世界トップレベルを維持
するというのは簡単なことではないですよね。やはり、いかに国民から支持されるスポーツ
かというのが発展のカギを握りそうです。
日本ハンドボール界の将来性
「データで見るハンドボールのメジャー性と世界ランキング」についてお伝えしてきまし
た。 世界的にみると、ヨーロッパでの人気が高いことがお分かりいただけたと思います。しかし、
日本では受け入れられないスポーツなのか?そんなことはないと思います。これからの日
本は人口も若者も減っていきますが、ハンドボール競技人口は増えているんです。後は何が
必要か。
日本サッカーが J リーグ発足、ワールドカップ本大会出場を果たして現在の位置が作られた
流れがあるように、ハンドボールをスポーツ産業として動かし、選手たちが生活の経済面で
苦労しないような取り組みと、世界に引けを取らない「強さ」が必要です。
マイナースポーツからメジャースポーツへと変貌を遂げる日本ハンドボール界を見るのも、
そう遠くないかもしれませんね。